「天涯の遊子」土桂篇。
土方と桂。と、高杉。 山崎、沖田、銀時、ほかも。
動乱篇以降、攘夷志士試験の後日。
其の四。土方、桂、銀時、新八、神楽。
その神社からかぶき町へはけっこうな距離がある。
片手で綿菓子三袋の閉じ口を器用につかみ、もう一方で白いお面を手にした桂は、黙したまま傍らを歩き続ける土方の気持ちを知ってか知らずか、同道を拒みはしなかったが。つと、お面を袂へ滑り込ませると、空いた手で土方の手を取った。ぎょっとなって思わず立ちすくみかけた土方に、いたずらっぽく笑む。
「さっきの仕返しだ」
「仕返しって、なぁ」
そりゃこっちも、その場を急ぎ退散するのにいきなり手を取ったけど。思いがけぬ行動と笑みとに毒気を抜かれて、知らず気の抜けたような声が出た。
そのまま指を絡めてただ悠揚として歩き続ける桂に、土方の鼓動が速まる。さっきまでの不機嫌が霧散しているのに気づいて、土方はわれながらこの単純さに辟易とした。これを桂がわかっててやっているのか、まるきりの天然なのかがわからない。
「ここで待ってっからよ」
言外に、土産を渡したらすぐ戻れ、という気持ちを滲ませて、土方は通りの手前で足を止めた。万事屋の二階家はもう目と鼻の先だ。
「なんなんだ。ここまでついて来ておいて」
「俺がてめぇと連れ立って、のこのこ顔出してみろ。万事屋はともかく、ガキどもが混乱すんぞ」
真選組と桂とは追い追われる関係だ。私的な繋がりなど知りようのない子らには理解不能な組み合わせだろうし、説明のできる事柄でもなかった。
なにより、せっかくようやく得られたこの時間を、まだ、みすみす手放したくはない。あのまま神社で、土方が怒るなり呆れるなりして帰ってしまえば、万事屋の子らに懐かれているらしい桂は、そのまま万事屋で時を過ごすことになる。すなわち、銀時と。それだけはがまんがならなかった。ほかのときならいざ知らず、土方と逢ったその足で、というのが耐えられない。
なにがかなしくて、目のまえで恋敵に土産を買われなければならないのだ。わざとなら怒りようもあるが、桂にしてみればほんとうに、せっかくひさしぶりのまつりだから、というだけなのだから始末がわるい。よしんばこれが土方を弄って遊んでいるのであっても、というかそれならなおのこと、いまここで尻尾を巻いてたまるかと思う。
二階家の外階段を上っていく桂の背を眺めながら、土方は煙草を銜えた。
桂といるあいだはどうも無意識に控えているのか、あまり煙草に手が伸びない。もう傷病人ではないのだから遠慮することもあるまいに。あれが刷り込みになっているのかと、ちょっと不安になる。いや、それとも。いちど、ポイ捨てしたところをこっぴどく叱られたせいか。いずれにせよ、惚れた弱みというやつだな。
ゆるく結わえて流された黒髪と、しゃんとした背の立ち姿。品と色香のあるたたずまいに見蕩れながら、そんなことを考えた。
「銀時くん、いますかー」
桂の声がして、木戸の引かれる音が続く。二階家の玄関から眼鏡男子が顔を出し、にこやかに出迎えるのが見えた。招じ入れようとするのへ、
「いや、時間がないのできょうはここで」
よしよし。空気を読めない桂でも、一応は土方の気持ちを汲んでいるようだ。と、奥から少女らしき声が飛ぶ。夜兎のあのチャイナ娘だろう。
「なに云ってるアル。ゆっくりしてけヨ。銀ちゃん、ヅラ、来たネ」
「すまないリーダー。ひとを待たせているのだ。きょうのところはこれで勘弁してくれ」
云いながら桂は手にしていた綿菓子の、シャボン玉と花の浮かんだ袋を少女に手渡した。
「わ。なにアルか。きれいな袋ネ」
少女の声が弾む。
「ああ、それ綿菓子だよ、神楽ちゃん。どこかで縁日でもあったんですか? 桂さん。その姿ってことは、お店のバイトかなにかで?」
「新八くんにも、ひとつ」
糖分依存症の万事屋じゃあるまいし、土方には、あの年頃の男子が綿菓子をよろこぶとも思えなかったが、意外にも。
「これ、お通ちゃんじゃないですか! 肖像権とかあって写真は使えないんですけど、お通ちゃんのキャラグッズがいろいろ出てるんです、いま。盲点だったなぁ。綿菓子の袋にまでなってるなんて。レアですよ、これ!!」
「おいおい。なにをはしゃいじゃってんのよ、思春期少年」
昂奮する眼鏡男子の背後から、万事屋が銀髪を掻きながら気怠げな顔を覗かせた。
「入れば。んなとこで立ち話されちゃ迷惑でしょ」
「貴様には、これだ」
桂がにっこりと、白のペンギンお化け袋を、万事屋の胸に押し付ける。おいおい。そいつは、嫌がらせ以外のなにものでもないんじゃないか。
案の定。万事屋が呆れたような声を上げた。
「これ? なんで俺、これ? よりによって、なんでこのペンギンお化けなのよ?」
「ペンギンお化けではない、ステファンだ。エリザベスそっくりであろう?
かわいいではないか」
「こーゆーのは、てめーの土産にしなさい」
「いいんですか?銀さん。中身、綿菓子ですよ」
「そうアル。綿菓子に罪はないネ。銀ちゃんが要らないなら、ヅラ、そのエリー、ワタシによこすヨロシ」
奪い取ろうとする少女の手から、万事屋はあわてて白ペンギンお化けを救い出した。まったく。結局もらう気満々なんじゃねぇか。
三人のやりとりをにこやかに見遣っていた桂が、では、といとまを告げる。
「残念ですけど、しょうがないですね。こんどまたゆっくり遊びにきてくださいよ。桂さん」
「この綿菓子に免じて許してやるアル。こんどは酢昆布も忘れるなヨ」
子どもたちが引っこんで、銀時と桂だけが玄関口に残ったタイミングを見計らったように、万事屋がなにやら桂に耳打ちをした。桂がなにか小声で返す。漂う親密な空気と交わされる顔の近さに、土方は我知らず一歩を踏み出した。
と、万事屋が土方の待つほうへと視線を巡らせる。隠れていたわけではないから、筋向かいの道路際から二階家の玄関先でのようすを眺めていた土方と、視線がかち合った。
「………」
「………」
万事屋の気怠い眼差しに炎が宿るのを、遠目にも土方は感じた。土方のほうもだったろう。土方がここまでついてきたことの意味を、悟るがいい。
「そろそろ、行くか」
わざと大きく声に出して、桂を呼んだ。桂が手を振って応える。
「ちょ、ヅラ。おい、マジ?」
外階段を下りかけた桂を、無意識にだろう、追った万事屋がその袖をつかむ。
「まあ、戦後処理といったところだから、気にするな。銀時」
「なんですか、それ。なにが戦後処理なんですか。つーかそれならそもそも、なんでヅラ子なの。なんで女装で縁日?」
ともに階段を下りながら、詰った。
「女装じゃなく変装だ。真選組の密偵が攘夷志士に紛れ込もうとしたのでな。その後始末の話し合い。なあ、土方?」
「…まぁな」
むろん土方にはそれだけが理由ではなかったが、桂がそう捉えているのはいたしかたない。取り付けた約束は、先の件で話がある、というもので、人混みに紛れたほうが人目につかない、という理由で選んだ例祭の縁日だった。こっそり逢瀬をたのしんでいたのは土方の思惑のうちでのことで、桂にしてみれば逢引などという意識はなかったろう。土方の恋情を知っているくせに、だ。
そうした面での桂の無頓着さ、裏を返せば無防備さを、土方は突いたことになる。結果、土産など買われてしまう羽目にもなったが、こうなってしまえば状況を利用するだけだ。どうあれ万事屋にしてみればいまのこの事態は、桂が土方との逢引帰りに万事屋に立ち寄った、という図式にほかならない。
「そういうことだ。わりぃな、万事屋。話はついたが、まだ別件がある」
「…………」
「別件? とは、なんだ。土方。ほかにもまだ問題があるのか」
土方の口上を真に受けた桂が、疑問符の付いた顔で寄ってくる。
「あるんだよ。いいから。ほら、行くぜ」
「なんなのだ、まったく」
「ヅラ」
「ヅラじゃない。桂だ」
土方についていきかけた桂を、万事屋が、思わず、といった風情で呼び止めた。決まり文句で振り返った桂に、だが万事屋はその先のことばを継げない。どうした。行くなと云わないのか。惚れた相手がほかのおとことふたり連れ。行かせたくねぇに決まってる。恥も外聞もなく、引き止めてみやがれ。てめぇが桂を手前ぇのもんだと云いきるんなら、幼なじみの座にあぐらをかいてねぇで、みっともなく周章ててみせりゃぁいいんだ。
「万事屋ぁ。ほかに用がねぇなら、行かせてもらうぜ」
挑戦的に睨みつけ、わざと余裕をかまして笑ってやった。
土方にはあとがない。銀時のように桂との確たるつながりなど、なにひとつない。あるのは、おのれの気持ちひとつだ。それだけが、この喧嘩を凌ぐ武器だった。万事屋が妙な沽券にしがみついているなら、その隙に一手でも二手でも打ち込ませてもらう。
紅の双眸が烈火に染まる。
土方の示威を覚って銀時が口を開きかけた、そのとき。軽快なメロディが流れて、その場のいわば一触即発だった空気を、もののみごとに粉砕した。
土方の懐で、携帯が鳴っていた。
* * *
続 2008.07.02.
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その神社からかぶき町へはけっこうな距離がある。
片手で綿菓子三袋の閉じ口を器用につかみ、もう一方で白いお面を手にした桂は、黙したまま傍らを歩き続ける土方の気持ちを知ってか知らずか、同道を拒みはしなかったが。つと、お面を袂へ滑り込ませると、空いた手で土方の手を取った。ぎょっとなって思わず立ちすくみかけた土方に、いたずらっぽく笑む。
「さっきの仕返しだ」
「仕返しって、なぁ」
そりゃこっちも、その場を急ぎ退散するのにいきなり手を取ったけど。思いがけぬ行動と笑みとに毒気を抜かれて、知らず気の抜けたような声が出た。
そのまま指を絡めてただ悠揚として歩き続ける桂に、土方の鼓動が速まる。さっきまでの不機嫌が霧散しているのに気づいて、土方はわれながらこの単純さに辟易とした。これを桂がわかっててやっているのか、まるきりの天然なのかがわからない。
「ここで待ってっからよ」
言外に、土産を渡したらすぐ戻れ、という気持ちを滲ませて、土方は通りの手前で足を止めた。万事屋の二階家はもう目と鼻の先だ。
「なんなんだ。ここまでついて来ておいて」
「俺がてめぇと連れ立って、のこのこ顔出してみろ。万事屋はともかく、ガキどもが混乱すんぞ」
真選組と桂とは追い追われる関係だ。私的な繋がりなど知りようのない子らには理解不能な組み合わせだろうし、説明のできる事柄でもなかった。
なにより、せっかくようやく得られたこの時間を、まだ、みすみす手放したくはない。あのまま神社で、土方が怒るなり呆れるなりして帰ってしまえば、万事屋の子らに懐かれているらしい桂は、そのまま万事屋で時を過ごすことになる。すなわち、銀時と。それだけはがまんがならなかった。ほかのときならいざ知らず、土方と逢ったその足で、というのが耐えられない。
なにがかなしくて、目のまえで恋敵に土産を買われなければならないのだ。わざとなら怒りようもあるが、桂にしてみればほんとうに、せっかくひさしぶりのまつりだから、というだけなのだから始末がわるい。よしんばこれが土方を弄って遊んでいるのであっても、というかそれならなおのこと、いまここで尻尾を巻いてたまるかと思う。
二階家の外階段を上っていく桂の背を眺めながら、土方は煙草を銜えた。
桂といるあいだはどうも無意識に控えているのか、あまり煙草に手が伸びない。もう傷病人ではないのだから遠慮することもあるまいに。あれが刷り込みになっているのかと、ちょっと不安になる。いや、それとも。いちど、ポイ捨てしたところをこっぴどく叱られたせいか。いずれにせよ、惚れた弱みというやつだな。
ゆるく結わえて流された黒髪と、しゃんとした背の立ち姿。品と色香のあるたたずまいに見蕩れながら、そんなことを考えた。
「銀時くん、いますかー」
桂の声がして、木戸の引かれる音が続く。二階家の玄関から眼鏡男子が顔を出し、にこやかに出迎えるのが見えた。招じ入れようとするのへ、
「いや、時間がないのできょうはここで」
よしよし。空気を読めない桂でも、一応は土方の気持ちを汲んでいるようだ。と、奥から少女らしき声が飛ぶ。夜兎のあのチャイナ娘だろう。
「なに云ってるアル。ゆっくりしてけヨ。銀ちゃん、ヅラ、来たネ」
「すまないリーダー。ひとを待たせているのだ。きょうのところはこれで勘弁してくれ」
云いながら桂は手にしていた綿菓子の、シャボン玉と花の浮かんだ袋を少女に手渡した。
「わ。なにアルか。きれいな袋ネ」
少女の声が弾む。
「ああ、それ綿菓子だよ、神楽ちゃん。どこかで縁日でもあったんですか? 桂さん。その姿ってことは、お店のバイトかなにかで?」
「新八くんにも、ひとつ」
糖分依存症の万事屋じゃあるまいし、土方には、あの年頃の男子が綿菓子をよろこぶとも思えなかったが、意外にも。
「これ、お通ちゃんじゃないですか! 肖像権とかあって写真は使えないんですけど、お通ちゃんのキャラグッズがいろいろ出てるんです、いま。盲点だったなぁ。綿菓子の袋にまでなってるなんて。レアですよ、これ!!」
「おいおい。なにをはしゃいじゃってんのよ、思春期少年」
昂奮する眼鏡男子の背後から、万事屋が銀髪を掻きながら気怠げな顔を覗かせた。
「入れば。んなとこで立ち話されちゃ迷惑でしょ」
「貴様には、これだ」
桂がにっこりと、白のペンギンお化け袋を、万事屋の胸に押し付ける。おいおい。そいつは、嫌がらせ以外のなにものでもないんじゃないか。
案の定。万事屋が呆れたような声を上げた。
「これ? なんで俺、これ? よりによって、なんでこのペンギンお化けなのよ?」
「ペンギンお化けではない、ステファンだ。エリザベスそっくりであろう?
かわいいではないか」
「こーゆーのは、てめーの土産にしなさい」
「いいんですか?銀さん。中身、綿菓子ですよ」
「そうアル。綿菓子に罪はないネ。銀ちゃんが要らないなら、ヅラ、そのエリー、ワタシによこすヨロシ」
奪い取ろうとする少女の手から、万事屋はあわてて白ペンギンお化けを救い出した。まったく。結局もらう気満々なんじゃねぇか。
三人のやりとりをにこやかに見遣っていた桂が、では、といとまを告げる。
「残念ですけど、しょうがないですね。こんどまたゆっくり遊びにきてくださいよ。桂さん」
「この綿菓子に免じて許してやるアル。こんどは酢昆布も忘れるなヨ」
子どもたちが引っこんで、銀時と桂だけが玄関口に残ったタイミングを見計らったように、万事屋がなにやら桂に耳打ちをした。桂がなにか小声で返す。漂う親密な空気と交わされる顔の近さに、土方は我知らず一歩を踏み出した。
と、万事屋が土方の待つほうへと視線を巡らせる。隠れていたわけではないから、筋向かいの道路際から二階家の玄関先でのようすを眺めていた土方と、視線がかち合った。
「………」
「………」
万事屋の気怠い眼差しに炎が宿るのを、遠目にも土方は感じた。土方のほうもだったろう。土方がここまでついてきたことの意味を、悟るがいい。
「そろそろ、行くか」
わざと大きく声に出して、桂を呼んだ。桂が手を振って応える。
「ちょ、ヅラ。おい、マジ?」
外階段を下りかけた桂を、無意識にだろう、追った万事屋がその袖をつかむ。
「まあ、戦後処理といったところだから、気にするな。銀時」
「なんですか、それ。なにが戦後処理なんですか。つーかそれならそもそも、なんでヅラ子なの。なんで女装で縁日?」
ともに階段を下りながら、詰った。
「女装じゃなく変装だ。真選組の密偵が攘夷志士に紛れ込もうとしたのでな。その後始末の話し合い。なあ、土方?」
「…まぁな」
むろん土方にはそれだけが理由ではなかったが、桂がそう捉えているのはいたしかたない。取り付けた約束は、先の件で話がある、というもので、人混みに紛れたほうが人目につかない、という理由で選んだ例祭の縁日だった。こっそり逢瀬をたのしんでいたのは土方の思惑のうちでのことで、桂にしてみれば逢引などという意識はなかったろう。土方の恋情を知っているくせに、だ。
そうした面での桂の無頓着さ、裏を返せば無防備さを、土方は突いたことになる。結果、土産など買われてしまう羽目にもなったが、こうなってしまえば状況を利用するだけだ。どうあれ万事屋にしてみればいまのこの事態は、桂が土方との逢引帰りに万事屋に立ち寄った、という図式にほかならない。
「そういうことだ。わりぃな、万事屋。話はついたが、まだ別件がある」
「…………」
「別件? とは、なんだ。土方。ほかにもまだ問題があるのか」
土方の口上を真に受けた桂が、疑問符の付いた顔で寄ってくる。
「あるんだよ。いいから。ほら、行くぜ」
「なんなのだ、まったく」
「ヅラ」
「ヅラじゃない。桂だ」
土方についていきかけた桂を、万事屋が、思わず、といった風情で呼び止めた。決まり文句で振り返った桂に、だが万事屋はその先のことばを継げない。どうした。行くなと云わないのか。惚れた相手がほかのおとことふたり連れ。行かせたくねぇに決まってる。恥も外聞もなく、引き止めてみやがれ。てめぇが桂を手前ぇのもんだと云いきるんなら、幼なじみの座にあぐらをかいてねぇで、みっともなく周章ててみせりゃぁいいんだ。
「万事屋ぁ。ほかに用がねぇなら、行かせてもらうぜ」
挑戦的に睨みつけ、わざと余裕をかまして笑ってやった。
土方にはあとがない。銀時のように桂との確たるつながりなど、なにひとつない。あるのは、おのれの気持ちひとつだ。それだけが、この喧嘩を凌ぐ武器だった。万事屋が妙な沽券にしがみついているなら、その隙に一手でも二手でも打ち込ませてもらう。
紅の双眸が烈火に染まる。
土方の示威を覚って銀時が口を開きかけた、そのとき。軽快なメロディが流れて、その場のいわば一触即発だった空気を、もののみごとに粉砕した。
土方の懐で、携帯が鳴っていた。
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続 2008.07.02.
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