「天涯の遊子」土桂篇。
土方と桂。
モンハン篇、獄門島篇(原作順準拠)以降、ソウ篇よりまえ。
前後篇、後篇。
遠い街灯りと疎らな外灯を、土方の目は捉える。道端で蹲り座り込んでいるのは我が身ひとつ。隊服の乱れがいまさっきの烈しい情動が夢ではないことを物語っていたが、むろん桂の姿などどこにもなかった。
どこか生温い風にさらさらと蒲楊が靡く。
自慰ではない。たしかに快楽はあった。しかしおよそ人身との交合と呼べるものではなかったろう。
「こんなところで、どうした。芋侍」
ふいに掛けられた声に、土方は身をこわばらせた。まだ幻覚を振り払えないのかと頭(こうべ)を振るのを、桂が小首を傾げて眺めている。
「転んだか。怪我でもしたか。それとも狐につままれたか?」
つかつかと近寄る足取りは危なげなく、沖田の砲撃で怪我など負っていないことは明白だ。なんの跡も残さず逃げられたのだ。あの出血に至る怪我を足に負っていたのなら、血の一滴、衣の端切れくらい落としていったろう。
その違和を直感では捉えていながら。
「そういえばこのあたりはむかし海だったのだ。あやかしでも見たか」
苦い笑いが込み上げてきて溢れて落ちる。おのれの欲に、あるいは願望に、負けたのだと悟った。
低く笑い出した土方に、桂は怪訝そうにしゃがみ込んで視線を合わせた。
「気でも触れたか?」
「…そうかも知れねぇな」
おのれだけが記憶に囚われて、惑わされて、おもい乱されて。
ともに刻み込まれたものなら、悪夢ですら土方には至福だったのだ。けれど桂は土方をまえにして露ほどにも辟易ろがない。
だからこんな淫夢のごとき痴情に晒されて、あやかしの創り出す幻燈にこの身を落とし込まれるのだ。
「わかってて、手前ぇの首を絞めてりゃ世話ねぇや」
あのとき万事屋が宣ったように。これはおのれの、身から出た錆。
覗き込んでくる桂の視線から逃れるように土方は目を逸らせた。
「佳き夢とできぬならわすれるが身のため。と、だから云った」
土方の自嘲の矛先に思い至ったのだろう、桂が囁く。
「わすれねぇと云ったろうが。おめぇにとっちゃ一夜の伽の、ほんの出会い頭の事故のようなもんだったかしれねぇが、こっちには…」
無上の悦びだったのだ。褪せることのない至幸のひとときだったのだ。
「だから貴様は、おろかだというのだ。芋侍」
「重々承知のうえだ」
「なにもわかっておらんな、貴様は」
「わかってねぇのはそっちだろう!」
この身のちぎれるような、おもいを。その欲も願望もひっくるめた、土方の心意を。
「では聞こう。出会い頭の事故に、遭って貴様は動じぬか」
半ば無理矢理に、逸らせた目を向き合わせられる。桂のたおやかな指先が、容赦のないちからで土方のおもてを捉えた。
「俺はおめぇみたく剛胆にできてねぇよ」
やけっぱち気味に応える。
「そんなことは知っている」
「ああ、そうかよ」
ちくしょう。
「その事故を起こした当人に開きなおられて、あげくなんで事故の経緯を憶えていないんだと詰られているようなものなのだぞ、おれは」
「んなこた、手前ぇ自身がいちばんわかってんだよ!」
桂はついと立ち上がり、あきれたように土方を見下ろした。
「おれを手に入れるとほざいておいて、そのざまか」
ちくしょう。これじゃあガキが駄々捏ねてるのとおんなじじゃねぇか。
「地面に寝転がって手足ばたつかせて喚けばいいのか、俺ぁ」
道端に座り込んだまま、後ろ脇に両手をついて仰け反るように土方は桂を見あげる。その長い黒髪が、枝垂れた蒲楊の枝先とともに風に靡いている。ああ、きれいだなと土方は思う。白皙のおもての漆黒の双眸が土方を見つめている。あきれているのだろうに、包みこむような眼差しだった。
ややあって、桂は土方に手を伸べた。
その手をつかんで土方は起きあがり、身に付いた泥を払う。桂は無造作に、まだ乱れを残していた隊服の襟を合わせてタイを整えてくる。されるがままになりながら、土方はやや斜め下にある桂のなめらかな頬の稜線に見蕩れた。
ここまで近づくと、仄かに立ちのぼる桂の身の香気が直に感じられて、陶然とする。ああ、そうだ。だから、ちがったのだ。この誘(いざな)いひとを酔わす匂いこそが、共寝した褥の、明けた朝の残り香だった。
「桂…」
呼ばれて目を上げた桂は、土方の視線を捉えて静かに切り出した。
「以前に云ったな。このおれの身の、髪一条にもそれなりの価値があると」
接吻ひとつといえども、安くはないぞ。
「…ああ、聞いた」
でなければそもそもあの朝に、一夜の伽を代価になどと土方に云い放ったりはしない。
「おれは、そうして生き延びてきた。おのが魂は攘夷に捧げているが、この身はその活計(たつき)に過ぎん。必要ならば差し出すし、利用できるかぎりは利用する。これまでも、これからもだ」
「ああ」
知っている。わずかばかりの時間でも、まっさらな少年期の桂と過ごしたあとではなおさらに、その深意が胸に迫る。
叶うものならそのときに傍で支えてやりたかった。あと五年、おのれが早く生まれていれば。武州の片田舎でなく生まれていれば。近藤と出会ったことの僥倖を否定する気はさらさらないし、近藤あってのいまの土方だということも真に心得ている。だがそれとはべつに、身に巣くう恋情はもしもの過去を夢想させた。
けれど。いまはもう、わかるのだ。過去を共有しないからこそ、見えるものがある。敵うことがある。
「土方」
タイに添えられていたしなやかな指先が土方の頸筋を撫でて、その感触に思わず身じろいだ。
「おれのからだなどしょせんは道具だ。抱きたいなら抱かせてやる」
「…な」
瞬きを忘れたように、土方は至近の美貌を凝視した。
「貴様が恋い焦がれるほどのうつわというなら、愛でる時間くらいくれてやる」
「なに、を」
云っているのかわかっているのか、こいつは。
「その程度の好意はおれにもある」
「ちょっと、待て」
頸筋から頬を辿る手指を周章ててつかむ。
「だがおれはきさまのものにはならん」
そのまま引き剥がそうとして、土方は固まった。
「いまは等しくだれのものにもならぬ。攘夷を成すまでおれはおれ自身のものですらない」
淡々と紡がれる桂のことばそのもの以上に、そこに浮かんでいた笑みが土方を慄かせた。およそ語ることばに似つかわしくなく穏やかに過ぎる。
「そのうえで、なお。貴様はおれを希むか」
攘夷戦争の生き残りがみなその身のうちに抱く、闇を垣間見た気がした。
「そんなんで…おめぇはつらくねぇのか」
いやつらくないわけがねぇ。出くわしたオフ会で愚痴っていたではないか。
「なにが、つらい?」
だがそうなのだ。それをただつらいだけと思うなら、いま桂はここにこうしていまい。
…たいがいの野郎の手には余るんだよ。あれはそーゆう、イキモノなの。
いま初めて、万事屋の語ることばが腑に落ちた。
…あれの生きざまの妨げになるようなら、容赦はしねぇよ。憶えときな。
高杉の突きつけたことばの意味が。
みな、こけおどしでも、恋仇に向ける牽制や挑発でもない。いや、そうでもあろうが、それだけではなかった。
桂自身が我が身に課した枷は、恋い慕うものにもまたそれに耐えうる精神を迫る。銀時と高杉ともが、すべてを汲んだうえで、その執着を手放せないでいるのだ。
桂はおのが愛おしむものにその身をくだされるが、そのこころは委ねない。みな愛おしくおもうがゆえに。
甘えを、桂はどこまでもゆるす。そう甘やかすことで、おのが希まぬ領域に桂はひとを踏み込ませない。
それがおとこを狂わせる。
「それでも貴様は、おれを希むか?」
淡々とした突き放すかのものいいが、また土方の耳を打つ。莫迦にするなと、叫べたらよかった。
「抱きてぇか、抱きたくねぇかで云うなら、そりゃ…」
決まってんだろうがよ。
「抱きてぇ」
だが後出しで割り込む土方を、おそらく彼の三人は認めまい。
ゆるさねぇと表立って牽制するのは万事屋だけかも知れないが、障りになるなら斬り捨てると明言した高杉はさらに容赦がないだろう。土方にはまだ姿の見えないたつまというおとこもまた、もしかするならそれ以上に。
穏やかだった笑みがどこかものがなしさを浮かべて、桂は、おろかだな、とつぶやいた。
もうそれは聞きあきた。
いちばんおろかなのは、桂、てめぇだ。
ひととしてのあたりまえな幸福も欲求も退けて生きるてめぇは、天涯を放浪する旅人もおなじだ。
それを本音ではおのが手許に置きたいのだろう万事屋も、その旅路の果てをともに見たいのだろう高杉も、みんなみんなおろかしい。
そしてなんのビジョンもないままにただ闇雲に惹かれていくだけの土方は、おろかしいと云うもおろかなのだろう。
桂。
剥がそうとつかんでいた指に、土方は頬を擦りよせた。掌に、そのまま唇を這わせて口接ける。
いっそ…これさえも。
目を閉じれば、からからと耳もとで回る音がする。
どこか壊れた幻燈機が、あやかしの愛欲をまた映しだす。
了 2011.07.14.
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遠い街灯りと疎らな外灯を、土方の目は捉える。道端で蹲り座り込んでいるのは我が身ひとつ。隊服の乱れがいまさっきの烈しい情動が夢ではないことを物語っていたが、むろん桂の姿などどこにもなかった。
どこか生温い風にさらさらと蒲楊が靡く。
自慰ではない。たしかに快楽はあった。しかしおよそ人身との交合と呼べるものではなかったろう。
「こんなところで、どうした。芋侍」
ふいに掛けられた声に、土方は身をこわばらせた。まだ幻覚を振り払えないのかと頭(こうべ)を振るのを、桂が小首を傾げて眺めている。
「転んだか。怪我でもしたか。それとも狐につままれたか?」
つかつかと近寄る足取りは危なげなく、沖田の砲撃で怪我など負っていないことは明白だ。なんの跡も残さず逃げられたのだ。あの出血に至る怪我を足に負っていたのなら、血の一滴、衣の端切れくらい落としていったろう。
その違和を直感では捉えていながら。
「そういえばこのあたりはむかし海だったのだ。あやかしでも見たか」
苦い笑いが込み上げてきて溢れて落ちる。おのれの欲に、あるいは願望に、負けたのだと悟った。
低く笑い出した土方に、桂は怪訝そうにしゃがみ込んで視線を合わせた。
「気でも触れたか?」
「…そうかも知れねぇな」
おのれだけが記憶に囚われて、惑わされて、おもい乱されて。
ともに刻み込まれたものなら、悪夢ですら土方には至福だったのだ。けれど桂は土方をまえにして露ほどにも辟易ろがない。
だからこんな淫夢のごとき痴情に晒されて、あやかしの創り出す幻燈にこの身を落とし込まれるのだ。
「わかってて、手前ぇの首を絞めてりゃ世話ねぇや」
あのとき万事屋が宣ったように。これはおのれの、身から出た錆。
覗き込んでくる桂の視線から逃れるように土方は目を逸らせた。
「佳き夢とできぬならわすれるが身のため。と、だから云った」
土方の自嘲の矛先に思い至ったのだろう、桂が囁く。
「わすれねぇと云ったろうが。おめぇにとっちゃ一夜の伽の、ほんの出会い頭の事故のようなもんだったかしれねぇが、こっちには…」
無上の悦びだったのだ。褪せることのない至幸のひとときだったのだ。
「だから貴様は、おろかだというのだ。芋侍」
「重々承知のうえだ」
「なにもわかっておらんな、貴様は」
「わかってねぇのはそっちだろう!」
この身のちぎれるような、おもいを。その欲も願望もひっくるめた、土方の心意を。
「では聞こう。出会い頭の事故に、遭って貴様は動じぬか」
半ば無理矢理に、逸らせた目を向き合わせられる。桂のたおやかな指先が、容赦のないちからで土方のおもてを捉えた。
「俺はおめぇみたく剛胆にできてねぇよ」
やけっぱち気味に応える。
「そんなことは知っている」
「ああ、そうかよ」
ちくしょう。
「その事故を起こした当人に開きなおられて、あげくなんで事故の経緯を憶えていないんだと詰られているようなものなのだぞ、おれは」
「んなこた、手前ぇ自身がいちばんわかってんだよ!」
桂はついと立ち上がり、あきれたように土方を見下ろした。
「おれを手に入れるとほざいておいて、そのざまか」
ちくしょう。これじゃあガキが駄々捏ねてるのとおんなじじゃねぇか。
「地面に寝転がって手足ばたつかせて喚けばいいのか、俺ぁ」
道端に座り込んだまま、後ろ脇に両手をついて仰け反るように土方は桂を見あげる。その長い黒髪が、枝垂れた蒲楊の枝先とともに風に靡いている。ああ、きれいだなと土方は思う。白皙のおもての漆黒の双眸が土方を見つめている。あきれているのだろうに、包みこむような眼差しだった。
ややあって、桂は土方に手を伸べた。
その手をつかんで土方は起きあがり、身に付いた泥を払う。桂は無造作に、まだ乱れを残していた隊服の襟を合わせてタイを整えてくる。されるがままになりながら、土方はやや斜め下にある桂のなめらかな頬の稜線に見蕩れた。
ここまで近づくと、仄かに立ちのぼる桂の身の香気が直に感じられて、陶然とする。ああ、そうだ。だから、ちがったのだ。この誘(いざな)いひとを酔わす匂いこそが、共寝した褥の、明けた朝の残り香だった。
「桂…」
呼ばれて目を上げた桂は、土方の視線を捉えて静かに切り出した。
「以前に云ったな。このおれの身の、髪一条にもそれなりの価値があると」
接吻ひとつといえども、安くはないぞ。
「…ああ、聞いた」
でなければそもそもあの朝に、一夜の伽を代価になどと土方に云い放ったりはしない。
「おれは、そうして生き延びてきた。おのが魂は攘夷に捧げているが、この身はその活計(たつき)に過ぎん。必要ならば差し出すし、利用できるかぎりは利用する。これまでも、これからもだ」
「ああ」
知っている。わずかばかりの時間でも、まっさらな少年期の桂と過ごしたあとではなおさらに、その深意が胸に迫る。
叶うものならそのときに傍で支えてやりたかった。あと五年、おのれが早く生まれていれば。武州の片田舎でなく生まれていれば。近藤と出会ったことの僥倖を否定する気はさらさらないし、近藤あってのいまの土方だということも真に心得ている。だがそれとはべつに、身に巣くう恋情はもしもの過去を夢想させた。
けれど。いまはもう、わかるのだ。過去を共有しないからこそ、見えるものがある。敵うことがある。
「土方」
タイに添えられていたしなやかな指先が土方の頸筋を撫でて、その感触に思わず身じろいだ。
「おれのからだなどしょせんは道具だ。抱きたいなら抱かせてやる」
「…な」
瞬きを忘れたように、土方は至近の美貌を凝視した。
「貴様が恋い焦がれるほどのうつわというなら、愛でる時間くらいくれてやる」
「なに、を」
云っているのかわかっているのか、こいつは。
「その程度の好意はおれにもある」
「ちょっと、待て」
頸筋から頬を辿る手指を周章ててつかむ。
「だがおれはきさまのものにはならん」
そのまま引き剥がそうとして、土方は固まった。
「いまは等しくだれのものにもならぬ。攘夷を成すまでおれはおれ自身のものですらない」
淡々と紡がれる桂のことばそのもの以上に、そこに浮かんでいた笑みが土方を慄かせた。およそ語ることばに似つかわしくなく穏やかに過ぎる。
「そのうえで、なお。貴様はおれを希むか」
攘夷戦争の生き残りがみなその身のうちに抱く、闇を垣間見た気がした。
「そんなんで…おめぇはつらくねぇのか」
いやつらくないわけがねぇ。出くわしたオフ会で愚痴っていたではないか。
「なにが、つらい?」
だがそうなのだ。それをただつらいだけと思うなら、いま桂はここにこうしていまい。
…たいがいの野郎の手には余るんだよ。あれはそーゆう、イキモノなの。
いま初めて、万事屋の語ることばが腑に落ちた。
…あれの生きざまの妨げになるようなら、容赦はしねぇよ。憶えときな。
高杉の突きつけたことばの意味が。
みな、こけおどしでも、恋仇に向ける牽制や挑発でもない。いや、そうでもあろうが、それだけではなかった。
桂自身が我が身に課した枷は、恋い慕うものにもまたそれに耐えうる精神を迫る。銀時と高杉ともが、すべてを汲んだうえで、その執着を手放せないでいるのだ。
桂はおのが愛おしむものにその身をくだされるが、そのこころは委ねない。みな愛おしくおもうがゆえに。
甘えを、桂はどこまでもゆるす。そう甘やかすことで、おのが希まぬ領域に桂はひとを踏み込ませない。
それがおとこを狂わせる。
「それでも貴様は、おれを希むか?」
淡々とした突き放すかのものいいが、また土方の耳を打つ。莫迦にするなと、叫べたらよかった。
「抱きてぇか、抱きたくねぇかで云うなら、そりゃ…」
決まってんだろうがよ。
「抱きてぇ」
だが後出しで割り込む土方を、おそらく彼の三人は認めまい。
ゆるさねぇと表立って牽制するのは万事屋だけかも知れないが、障りになるなら斬り捨てると明言した高杉はさらに容赦がないだろう。土方にはまだ姿の見えないたつまというおとこもまた、もしかするならそれ以上に。
穏やかだった笑みがどこかものがなしさを浮かべて、桂は、おろかだな、とつぶやいた。
もうそれは聞きあきた。
いちばんおろかなのは、桂、てめぇだ。
ひととしてのあたりまえな幸福も欲求も退けて生きるてめぇは、天涯を放浪する旅人もおなじだ。
それを本音ではおのが手許に置きたいのだろう万事屋も、その旅路の果てをともに見たいのだろう高杉も、みんなみんなおろかしい。
そしてなんのビジョンもないままにただ闇雲に惹かれていくだけの土方は、おろかしいと云うもおろかなのだろう。
桂。
剥がそうとつかんでいた指に、土方は頬を擦りよせた。掌に、そのまま唇を這わせて口接ける。
いっそ…これさえも。
目を閉じれば、からからと耳もとで回る音がする。
どこか壊れた幻燈機が、あやかしの愛欲をまた映しだす。
了 2011.07.14.
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